Signpost in the city

ある店舗ビルのための看板門柱の計画である。道路から奥まった位置に建つ店舗ビルの為に視認性が良く、品のある看板門柱を目指した。
生まれた計画は、四角柱のRC構造物にステンレスバイブレーションフレームで作られたアクリル乳白の発光パネルをコーナー部に埋め込んだシンプルな造形の看板門柱である。駅から来る歩行者にとって最も視認しやすい広い面をテナント名、短い面は階数表示とし、コーナーパネルの利点を看板デザインに活かしている。また、歩行者に威圧的にならないように、高さはヒューマンスケールの全高1.8mとしている。表面仕上は、無機質で工業的な素材で立ち並ぶ駅前ビル群の中で、あえて自然素材による荒い左官仕上とし、はっと目を惹くように白系の色味とした。さらに、雨垂れによる汚れを考慮して、天端は片勾配としてステンレスプレートによる水切りを接着している。その造形は、まるで小さなビルのような看板門柱となった。また、店舗ビルまでのアプローチの造園計画、照明計画のデザインコーディネートも行っている。看板というと目立つ必要があるからこそ、派手でカラフルに計画する場合が多いかもしれない。しかし、喧騒とした街中で、逆にシンプルな造形で静かな光で佇むことで、人は心を動かされ視認し、歩みを止めるのではないかと考えている。